物理法則を知らない。

デュエルポケットモンスターマスターズ

そうだ、諏訪へ行こう

 去年の今頃、「クトゥルフ神話TRPGをやってみたいな」という会話がありました。ですが当時の自分は学生ニートだったので、ルルブを購入するお金が無い……こともなかったのですが、カード費を削ってまで……という程度のモチベーションでした。

 春、社畜ジョブチェンジしてお金が増えたので興味本位で『クトゥルフ神話TRPG ルールブック』と『クトゥルフ神話TRPG サプリメント2015』を購入。

――が、社畜・・・! 圧倒的時間不足・・・!

 ということで宝の持ち腐れとなっていたところ、冬、TRPGへの興味が再燃。手始めに「毒入りスープ」というシナリオをやってみようと準備を進めていたのですが、その途中で思いました。「これ自分でも作れるんじゃないか?」と。

 自分の専門分野は日本神話と土着信仰。丁度オカルトチックなテーマですし、まあいけるやろ! とシナリオ作成意欲が爆発。

 そうだ、諏訪へ行こう。

 研究班は至急諏訪へ向かった――!

 

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 電車を乗り継ぎ「JR塩尻駅」に着き、そこから「ワイドビューしなの」とかいう特急に乗って、下諏訪駅へ。塩尻では「デブお断りかな?」というぐらい入口の狭い、信州そばのお店が駅構内にありましたが、電車の時間もあったのでスルー。

 下諏訪に到着すると構内に御柱と注連縄が置かれていて、これが諏訪か……! とワクワクしてきました。

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 下諏訪の駅はそこそこ大きかったですし、駅にはタクシーが常駐(?)していて、下諏訪の街(写真を撮り忘れるオタク)も綺麗に整えられており、いかにも観光地として古めかしさを残した宿場町と言った風で、散歩するだけで楽しかったです。

 自分は日本神話を研究していたこともあり、文面でしか見たことのない諏訪という土地にそれなりの憧憬を抱いていたため、気分はまさしく聖地巡礼。同じ場所を何度も往復する様子は振り返れば不審者だったかもしれません。

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 諏訪大社下社秋宮。神社に参拝するために並ぶのは初詣以来です。このときは流石諏訪大社……! と思っていました。

 待機列で自分の前にいた“いかにもオタク”という風の女子三人組の印象が強烈過ぎて、諏訪大社の風格云々よりもそっちの方が鮮明かもしれません。なんで隈取みたいな化粧してたんですかね??

 秋宮の大注連縄は御柱祭ごとに交換されるらしく、通りで新しいわけです。

 

 初日は到着が昼過ぎだったこともあり、秋宮だけ参拝して、あとは下諏訪の散歩へ。そのまま夕方まで歩いて、ホテルへチェックインしました。

 そ し て 夕 方 。

 夕飯は地元のそば屋にでも入って信州そばにしようと思っていたのですが、これが全然見当たらないんです。いいえ、そば屋自体はあるのですが……

「本日の営業は終了しました」

 昼の営業だけかよ! と肩透かしを食らうことの多いこと。仮にも観光地が、金曜日の夜にここまで伽藍堂になるものなのか……と。でも奈良の明日香村も似たような感じですし、神社仏閣を主とする観光地はどこもこうなのかもしれませんね。京都は別格ですが。

 昼間見かけた参拝客の一人もおらず、無人の下諏訪を彷徨っていました。結局、唯一開いていたそば屋さんにて目当ての信州そばを頂けました。

 

 折角の遠出だから、と地酒を購入してホテルで飲む算段でしたが、これも同様に酒蔵や販売店が夕方には店仕舞いになるので、諦めてセブンイレブンへ。

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 大正義セブンイレブン。まさか地酒のカップ酒があるとは。

 三種とも飲んでみた感じ、個人的には「高天」が一番おいしく感じました。「高天」と書いてコウテンと読むんですね。

 夜には観光した内容をまとめようと思っていたのですが、仕事明けということもあり、気付けば深夜2時まで寝落ちしていました。流石に無理して二日目に響くとアホらしいので、就寝。

 

 6時起床。朝食や片付け、ソシャゲのデイリーミッションの消化などを熟してからチェックアウト。

 下諏訪の街は、7時半頃になってようやく朝日が昇りました。やはり東の山の麓は夜明けが遅いですね~。外に出てみると、鼻息すら白くなるほど寒くて、siri曰く氷点下8度でした。

 既に満足していたので、下諏訪の街を散歩して帰るのもアリだなとか思っていたのですが、流石に勿体ないので諏訪大社上社へ向かうことに。電車で一駅だというのに、結構な時間揺られていた気がします。

f:id:byouketu:20190123220401j:plain 写真だと分かり辛いのですが、湖面が一部凍っています。そして、一面の青空! あんまり雨に降られることはないのですが、ここ一番でもそれが発揮されたらしく天運に恵まれて良かったと思います。

 古事記日本書紀でしか諏訪湖を知らなかったので、もっと巨大な湖なのかと思っていましたが対岸が見えるんですね。この水量だからこそ凍るのかも? と思ったり。似たようなことを言って龍神の怒りを買った日本武尊を顧みると、自分も発現は慎まねばなりませんが。

 

 上諏訪駅から諏訪大社上社へは「かりんちゃんバス」がオススメ! と書かれていました。ですが生憎と「かりんちゃんバス」の停留所が分からず、それっぽいバス停を発見するも「土日運休」の文字。うーん(白目)

 土地勘のない場所で見知らぬ目的地へそれなりの距離を歩くとなると、道に迷う自信があったので、苦肉の策でタクシー召喚。10分くらいの乗車でしたが、2500円掛かりました。今回の出費の中で特急&新幹線、宿泊費を除くと二番目の出費額でした。まあ、リスク回避のための必要経費だから(震え声)

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 着いた! 誰もいなーーーーい!!

 このとき9時半くらいだったと思いますが、参拝客なし。一番乗り(?)でした。

 信濃国一宮諏訪大社上社本宮でも、オフシーズンだと意外と閑散としているんですね。御柱祭の時期は人で埋まるのでしょうけど。

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 社殿の回廊。写真で見返すと「静謐な時間を過ごせてよかったな~」とか思えますけど、当時は寒すぎて死ぬかと思っていました。手袋をしていても手が腫れます。

 このあと拝殿で祈祷? みたいなことをやっていたので見物。紅白衣装で幼い巫女さんって大抵地元の学生がやってるバイトなんですよね。たまに関係者の娘だったりするんですけど。こっちだと日給5000円です。

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 人も増えてきた10時過ぎ。上社本宮からだと上諏訪の町がよく見えるんですね。昔はこういう小丘から村を展望したといいますし、ここもそうだったんでしょうか?

 次の目的地は諏訪大社上社前宮。歩いて30分くらいっぽいので、歩くことにしました(タクシーはもう使いたくない)

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 用水路がカチコチに凍っていますね。ここまで完璧に凍っている流水を初めて見ました。これなら乗っても大丈夫なのかも?

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 前宮への道すがら、iPhoneの地図を開くと「神官長守矢史料館」の表記を発見。あの守矢!? と興奮を隠しきれず直行しました。

 諏訪という土地において守矢家がどれほど偉大か、少し調べれば分かるくらいには重要です。古代においては守矢あっての諏訪と言っても過言ではありませんでした。

 内容については……あんまり書くのも野暮なので控えますが、一言でいえば「古文は読めねえ」って感じです。貴重な貴重な文書が展示されているのですが、自分には解読できませんでした^p^

※ここにシカの生首の写真を掲載する予定でしたが、絵面がアレ過ぎるので止めました。

 ポロリもあるよ! さておき、このシカに関する話については極めて有益な情報だったとだけ。自分の中の諏訪神話研究においてかなり進歩でした。

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 諏訪大社上社前宮の入り口です。諸説によると、本宮より以前より存在し、かつてはこちらで洩矢神(諏訪の土着神)を祀り、祭祀の中心だったとか云々。

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 こちらは「十間廊」と言って、祭神への供物を捧げた場所だったそうです。

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 これは「内御玉殿」と言って、大祝(有体に言えば諏訪大社で一番えらい人)が神を下ろして登場する場所(?)だったようです。諏訪大社と現人神については某ゲームの影響で割と有名ですね。

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 これは「水眼」(すいが)と呼ばれる、上社前宮へ流れる名水だそうで、かつては神事に用いられたとか。画像だと伝わらないかもですがめっちゃ綺麗な水でした。

 「これ飲めるの?」と聞きまくっていたお婆ちゃんが印象的です。

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 上社前宮の参拝を終え、3kmくらい先にJR茅野駅があるとsiriが教えてくれたので、歩くことにしました。

 何もない! 何もない!

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 なんだかんだで朝にタクシーを降りてから歩き通しだったのでお腹が空いて来たのですが、お店がない! 人もいない! あるのは山、川!

 という道を一時間ほど歩いて、国道18号に出ると流石にお店が見えてきます。ワンカルビ、ファミリーマート、など。18号沿いに地酒「真澄」の酒蔵を見つけたのですが、生憎とお休みだったようでした。

 道路を数度横断して思ったことは、長野県民は歩行者に道を譲ってくれがちですね。関西だと「渡れるものなら渡ってみな!」とばかりにノンストップが通常運転ですけど、諏訪はあったけえ……。

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 もうゴール、していいよね……?

 諏訪大社下社春宮を訪ねるのをすっかり忘れていましたが、丁度キリが良かったので茅野駅への到着をもって諏訪観光は終了です。最後に茅野駅近くの川魚・うなぎ屋でうな重を食べて終わり!

 うなぎって駿河の印象が強かったですけど、信濃……というか諏訪も名産なんですね。これは発見でした。そして、このうな重が今回の旅で一番の出費でした。

 うーん、諏訪大社参拝に来て、出費ランキング1位うなぎ、2位タクシーとは(笑)

 

 諏訪での神話については、日本神話で書かれている国譲りの部分しか知らなかったので、現地に来てみると色々と新しい視点が得られますね。ともかく、建御雷神の名前が見当たりません!

 建御雷神は曽我氏の氏神なので、丁度曽我氏が勢力を増してきた頃あたりに箔をつける為、諏訪明神との勝負神事が追加された説がありますし、諏訪内部では認知されていない神様なのかもしれませんね。日本神話……もとい中央神話の観点からものを見ているとそうした部分が見えづらいので、有意義な旅でした。

 

 また、今回の旅で一番大きく変わったものは「ミシャグジさま」に対する認識でしょうか。これまで漠然と抱いていた印象が、諏訪観光に備えた事前学習と考察によっていくらかの方向性を伴い、諏訪で色々見聞きして、自分の中で「ミシャグジさま」という土着神がどういった存在だったのかは固まりました。

 

 元々クトゥルフ神話TRPGのシナリオを作りたい! という話だったのですが、純粋に、神話研究としても大変楽しめました。もちろん、シナリオ作りについても大よその案はまとまってきたので、遠からず作れるのかな~と思います。

 もっとも、こっちだと拡散力がミジンコなので、シナリオを作ったとして公開の手立ては考えないといけませんけど……。

 

 今度は祭りに合わせてもう一度、諏訪大社へ行ってみたいですね。