物理法則を知らない。

デュエルポケットモンスターマスターズ

読んだ本の紹介とか その13

 世間はまさに春の嵐、雨が降ったと思えば晴れ間が広がり、かと思えば雨……ついには雪まで振って山が白く化粧されました。今週半ばには初夏並みの気温になるそうなので、寒暖の振れ幅に体調を崩さないように気をつけたいですね。

 自分は5℃~10℃くらいの気温が一番快適に感じます。高くても20℃くらいが限度ですね……。

 

 今回は恋愛(?)ゲームのノベライズを読みました。

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 『沙耶の唄

 今更紹介する必要もないくらい伝説的なゲームですよね。自分も内容こそ知りませんでしたが、その名前と表紙のキャラが“アレ”なことくらいは知っていました。2018年が15周年ということで、ノベライズされたようでした。

 本屋で見かけた際に「読んでおいて損はない」と思って購入。元が18禁、原作者はあの虚淵氏、製作時期は2000年代前半――覚悟は決めた、読むぞー!

 

――なんだこれは(白目)

 グロかったり、ホラーだったり、鬱だったりするんだろうな~って構えて読んだのですが、そういう類のものではなかったですね。敢えて例えるなら「狂気」もしくは「病的」でしょうか。「よくこんなシナリオを思いついたな!」と叫びたい気分です。

 とはいえ、流石15年経過しても愛されている作品だけあって非常に面白かったです。いや、後味が悪すぎて「面白い!」と言い辛いのですが、間違いなく傑作でした。

 

 一応ジャンルは恋愛ゲーム(18禁)だったと思うのですが、びっくりするくらいキャラクターに愛着が湧きませんでした。シナリオの完成度が高くて、キャラクターがその歯車としてぴったりハマっているんですよね。ですので、キャラクターについて考えると、それと関連するシナリオが想起されて結局シナリオ評価に繋がってしまう様な……そういう感想です。

 

 『沙耶の唄』のテーマにある「純愛」というのは本当にその通りだと思いました。主人公である「郁紀(フミノリ)」は正気の世界と狂気の世界とが逆転して見えてしまう奇病を患っています。その奇病の影響で、本来は目視すると発狂しかねないレベルの悍ましい「沙耶(サヤ)」が美少女に映り、救われ、恋をします。

 一方で奇病を患う以前の既知であった「瑶(ヨウ)」からも恋情を向けられていましたが、奇病の影響で彼女が悍ましい化け物に見えてしまい、それが一因となって拒絶します。

 「郁紀」と対象の存在として登場する「耕司(コウジ)」は、作中ずっと「沙耶」と「郁紀」の愛情を歪なものだと否定して、最後までそれは変わりませんでした。ですが、それはあくまで種族や姿形に囚われた観念であり、実際に「沙耶」は心から「郁紀」を愛し、その逆も同じでした。

 作品のテーマである「純愛」とは、そうした外見だとか種族だとか、そうした一切の理屈を超えて存在する、心底から発生する恋情のことを指しているのかな~なんて思いながら読んでいました。

 

 面白くて一気に読んだ……のもありますが、終わりを見届けないと不安で眠れない気がしたので一気読みしました。文句なしに面白いですし、読んで良かったと思いますが、読み返すには勇気が必要な作品でした。

 クトゥルフ神話TRPGのシナリオに「沼男は誰だ?」という屈指の鬱シナリオがあるのですが、流石それの元ネタだけあって……キツかったです。

 

 ここからどう派生するのか不明ですが、どうやら続編の製作が進行中のようですので、それを楽しみにしていこうと思います。

 それと、前回の記事の最後の方で言っていた「鷲尾須美は勇者である」と「楠芽吹は勇者である」は既に読了していますので、次はそのどちらかを紹介できたらなと思います。或いは、他にも読み終わった小説があるのでその中から選ぶかもしれませんが。